歯科内装デザイン設計_6 瞬間調光シートで変わる医院空間の印象と可能性【実例付き】-空間の考え方とその手法4-
- atsushi handa
- 8月13日
- 読了時間: 4分
歯科内装デザイン設計の中で、「見せたい」「隠したい」の両方をかなえたい。
そんなニーズに応えてくれるのが、**瞬時に表情を変える“瞬間調光シートです。シリーズ第4回では、この素材を実際に取り入れた医院設計の事例を3つご紹介。光と視線のコントロールで、開放感とプライバシー性を両立しながら、医院のブランディングにもつながる魅せる仕掛けをご覧いただきます。
ケース1_待合とつながるカウンセリングルーム
こちらの医院では、カウンセリングルームを待合室に隣接させてレイアウトしました。あえて完全に仕切るのではなく、カウンセリングコーナーの存在を待合から「見えるように」設えることで、空間全体に開放感をもたらすとともに、患者さんにとって「カウンセリングが自然に存在する空間」として印象づけています。

さらに、カウンセリングの奥には診療室も隣接。待合からカウンセリング、診療室へと空間がつながっており、外光が奥まで届く構成にすることで、医院全体が明るく、やわらかな雰囲気に包まれています。
この開放的な設計を可能にしているのが、ガラス面に施工された瞬間調光シートです。スイッチ一つでガラス面がパッと曇りガラスのように変化し、必要に応じてプライベートな空間へと瞬時に切り替えることができます。診療やカウンセリングの最中は視線を遮り、それ以外の時間は空間の広がりとして機能する、一つで二役のスマートな仕掛けです。

ケース2_動きが伝わる、ガラス越しのカウンセリング
こちらの医院も待合こちらもカウンセリングルームを待合空間に併設している事例です。スタッフさんがカウンセリングルームに出入りする姿が待合から自然と見えるように計画されており、「医院が動いている」という活気を患者さんに感じてもらえる設計となっています。

壁面デザインには、待合からカウンセリングへと連続性を持たせた意匠を採用し、空間の一体感と洗練された印象を演出しております。
瞬間調光シートは全面に貼るのではなく、必要な部分だけにアクセント的に計画。これにより、デザイン性を損なわずに視線コントロールを実現し、見られていることを意識した、緊張感と信頼感のある空間が完成しました。

ケース3_診療室パーテーションでの採用とハイテクの演出
こちらの医院では、診療室のパーテーションに瞬間調光シートを使用しています。診療していないときは開放的なガラスとして、患者さんをお迎えする際にはスイッチひとつで曇りガラスに切り替え。安心感とプライバシーへの配慮が同時に叶う設計です。


こちらの医院はインビザライン専門クリニックという特化型歯科医院。空間に「デジタルの印象」を持たせるため、様々なハイテクギミックを積極的に取り入れてみました。
たとえば、診療室の前面にはタッチセンサー搭載の大型モニターを設置。まるで大きなiPadのような操作感で、患者さんへの説明や資料提示にも一役かっています。

さらに、照明にはカラー調光システムを導入。時間帯やシーンに合わせて照明色をグラデーションで変化させ、医院の印象自体を柔軟に変える試みもおこないました。

このような空間演出は、単に「おしゃれ」なだけではなく、医院の特徴や診療スタイルを表現し、患者さんとのコミュニケーションのきっかけにもつながる重要な要素と考えております。
瞬間調光シートは、ただの目隠しガラスではありません。「見せたい」「隠したい」を瞬時に切り替えられることで、空間にストーリー性やリズムをもたらしてくれます。新規開業はもちろん、既存の医院の改装にも取り入れやすく、印象をガラリと変えながらも機能性を高められる優秀な素材です。
患者さんの印象に残る空間、スタッフが意識を高く保てる環境、そして医院としてのブランディング——瞬間調光シートが生み出す“動き”と“余白” ぜひ取り入れてみてください。
次回は、おすすめのマテリアルとして実際使用することの多い壁面クロス品番などをご紹介したいと思います。
思いがカタチになる、その日まで。
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