歯科内装デザイン設計_5 仕切るだけじゃない 視線と光でつくる魅せるパーテーションの話【実例付き】-空間の考え方とその手法3-
- atsushi handa
- 8月7日
- 読了時間: 4分
今回の歯科内装デザイン設計は、ガラスのパーテーション。素材・透け感・反射 そして光との組み合わせにより、空間に印象的な表情を加えるデザインツールです。第3回目の今回は、タペシート・乳半ガラス・ファブリックガラスなど、医院設計でも活躍するパーテーションの具体的な選び方と使い方をご紹介します。
素材の違いによる見え方、透過率、照明とのバランス印象づけたい空間の雰囲気に応じて、最適なマテリアルを選ぶ視点をまとめています。
診療室などの目隠しにはクリアガラスにタペシートを貼ることが多いかと思います 光を通しながら、目線をさえぎるので大変使い勝手の良い素材です。

シートにスリット(カット)を入れたりすることで
透明な部分とのコントラストが動きを与えます。

視線の部分だけを隠して天井面や床面を見せることでより開放的な空間演出ができます。同じ床材を使用するとさらに印象が強くなります。

同様のシートでも乳半シートというものもあります、ご存知の方も多いと思いますが、白味を帯びますので、フレームと対比させたり、柔らかい印象を出したい時に使用します。

ファブリックガラスという素材もあります。
ガラスに閉じ込められた本物の生地が落ち着いた雰囲気と有機的な印象を空間に与えます。
写真では中々伝わりにくいので、可能であれば是非現物を見ていただきたいマテリアルです。
金属メッシュをサンドした、メタリックシリーズや、和紙などと合わせた珍しいマテリアルを展開しているメーカーです。

ケース1
通路とのパーテーションに使用しました。右側がアップの写真です。
横帯の生地がサンドされており、濃淡が柔らかくついています。
通路の方向性・奥行きを強調するため横帯を選択しております。
タペシートとは異なり、ガラスでサンドしているので表面の傷には強いです。

ケース2
こちらも診療室のパーテーションに使用しております。
生地の濃淡で作られた千鳥格子のような柄と壁面形状も斜めに傾斜させることで、動きをもたせました。床からのアッパーライトで照らすことにより、リズムと印象的な陰影をつくりだしました。

しっとりとした、有機的な生地の印象が伝わります。
こちらのファブリックガラスは中が見えることはありませんが、
種類により透過率の高いレース状のものもあります。

ファブリックガラスは、費用や納期など少しハードルの高い面もあります計画的に使用してください。
その他、シート素材をいくつか紹介させていただきます。最近は色々な素材感のシートが製品化されております3Mジャパン株式会社のファサラのファブリック・エンボスシリーズ です生地のようなマテリアルや、木目のエンボスがかかったシートなど種類がありますので、空間の雰囲気にあわせて使用して見るのも良いと思います。そのほかにも、グラデーションシートやタペシートも透過率の段階がいくつかありますので、現物をみて確認することをお勧めします。

パーテーションに、ファブリックの印象のシートを選択しました。

アップで見ると、生地感もあり柔らかい印象をつくりだせます透過性の高いシートですので、反対面にタペシートを貼りシーンにより透過率の調整をしてください。

サインの切り文字など、硬質なモノとの対比は、双方を引き立てる役割も担えます。

同じく3Mジャパン株式会社 ファサラシリーズのダイクロイックシリーズは、見る角度によって多色に色の変わるシートです。偏向ガラスよりも色味が濃く、インパクトが強い素材ですが、面白いマテリアルです。

パーテーションに使用させていただきました。歩いていると見る位置により色味が変化します。設置の有無は要検討ですが、インパクトのある華やかなマテリアルです。


素材選びが空間の印象を決める。
パーテーションは、単なる「仕切り」ではありません。
素材・色・光の組み合わせ次第で、空間の印象そのものが変わります。
どんな見せ方をしたいのか?
どう印象づけたいのか?
それに応じて、ガラスという素材の持つポテンシャルを活かし、視覚的にも心理的にも心地よい医院空間を設計していきましょう。
次回予告|-空間の考え方とその手法4-
今回登場したシート素材を活用しながら、空間を仕切る・つなげるデザインの考え方について、より具体的にご紹介します。
美しい設計は、確かな診療の第一歩!
それでは今日も、「開業日和」で
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