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歯科内装デザイン設計_3 狭くても広く見せる デザイナーが現場で使う奥行き演出のテクニック【実例付き】-空間の考え方とその手法1-

  • atsushi handa
  • 8月6日
  • 読了時間: 3分

歯科内装デザイン設計の空間は、広さだけで決まるものではありません。限られた面積でも、照明やミラーの使い方ひとつで、印象は大きく変わります。このシリーズでは、実際の設計事例をもとに「空間をどう整えるか」のヒントをご紹介していきます。

第1回目のテーマは「間接照明 × ミラー効果で奥行きを生む」という定番テクニック。ルールさえ守れば、誰でも使える実践的な手法です。


狭さを感じる通路、奥行きのない待合、天井高が強調されすぎる受付など空間の印象を整える具体的な4つのケースを、写真とともにご紹介します。

ケース1_通路が狭い空間でも広がりを演出都内近郊では、どうしてもプランニングがタイトになりがち。診療室へと続く通路の幅も、十分に確保できないことがあります。


左側の壁面の圧迫感が強い
左側の壁面の圧迫感が強い

このケースでは、左側の壁面にミラーを施工。

さらにそのミラーに90°の角度で間接照明を当てることで、視覚的に広がりを感じられる空間に仕上げています。


ミラーと照明の“角度”が鍵です。必ず90°で!
ミラーと照明の“角度”が鍵です。必ず90°で!

ケース2_奥行きのないスペースを引き立てる

この空間では、奥行きが感じられず、少し窮屈な印象を与えてしまっていました。原因のひとつは、間接照明が壁で止まっており、光の流れが遮られていたことです。


間接照明を効果的に演出するには
間接照明を効果的に演出するには

そこで採用したのが、正面にミラーを設置する手法。

間接照明のラインがミラーに映り込み、光のラインが続いて見えることで空間に方向性が生まれ、広がりを感じられるようになります。

また、ミラー前に花器を置いてアイキャッチをつくることで、“鏡っぽさ”をやわらげる工夫も。柔らかさとデザイン性を兼ね備えたアプローチです。


90度です!
90度です!

ケース3_リピート効果で奥行きを演出する

このケースでは、カウンター・ベンチ・プリーツスクリーンを同じ方向に揃え、その流れに合わせて2面の壁にミラーを施工しました。

ベンチ・間接照明・プリーツブラインドを同じ方向に並べる
ベンチ・間接照明・プリーツブラインドを同じ方向に並べる

格子柄の壁面やスクリーンの形状がミラーに映り込むことで、空間に奥行きが生まれ、広さ以上の広がりを感じさせます。

繰り返しになりますが、照明の角度は90°を厳守!


柄やライン、照明の“リピート感”を意識することで、ミラー効果はさらに高まります
柄やライン、照明の“リピート感”を意識することで、ミラー効果はさらに高まります

ケース4_天井高を活かして、広がりと求心性を演出

この医院では天井が高く、物理的な閉塞感はないものの、壁面のボリュームが強く、やや囲まれた印象になっていました。

開放的なミラー効果
開放的なミラー効果

間接照明 × ミラー効果の基本ルール まとめます!


1_ ミラーは必ず「ブロンズミラー」を使用(クリアミラーはNG)

2_ 照明の色温度は「電球色(3000K程度)」がベスト(受付・待合向き)

3_ 間接照明は必ず“90°”でミラーに当てる

4_ 空間に“方向性”をつける意識で配置する(隅を狙うと◎)

5_ ミラーに柄や光を映す場合は、映り込みのピッチやバランスに注意


+αの工夫でもっと魅力的に間接照明の庇部分にアクセントラインを入れる、照明色を変える、リズム感を持たせる配置にするなど、少しのアレンジで空間の印象はさらに洗練されます。ぜひ設計段階から積極的に取り入れてみてください。


次回予告|その2「カラーガラスの効果と種類」空間に彩りと透明感を与えるカラーガラスについてお話しします。その色の違いや効果的な使い方など、医院デザインに活かせるポイントをご紹介予定です。


思いがカタチになる、その日まででは、今日も「開業日和」で

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