神奈川歯科大学附属BULE FRONT SHIBAURA デンタルクリニック
本厚木セントラル歯科
予防ケアに通い続けたくなる、柔らかな光に包まれたメンテナンスフロア
本厚木セントラル歯科の既存1階医院に加え、新たな増床 ・分院フロアとして計画しました。メンテナンスを中心とした診療を想定し、予防意識の高い患者はもちろん、これから予防歯科を身近に感じる地域の方にも「また通いたい」と思ってもらえる、落ち着きのある空間を目指しています。
医院の成長を見据えた、余白のある増床計画
230.80㎡のフロアには、現在7台の診療ユニットを配置。将来は最大10台まで増設できるよう、3台分のスペースをあらかじめ確保しています。
保留スペースの用途は診療室だけに限定せず、医院の将来的な方針に合わせて、セミナールームやキッズコーナーなどへ展開できる可能性も残しました。完成時の使いやすさだけでなく、医院の成長や地域での役割の変化にも対応できる計画です。
柔らかな光に包まれる、窓のない待合空間
空間全体は、中間色のグレージュと乾いた質感のマテリアルを基調とし、アンティークゴールドをアクセントとして取り入れました。落ち着きと上品さを備えながら、女性にも親しみを感じてもらえる柔らかな印象に整えています。
窓のない待合空間では、天井の間接照明だけでなく、壁面のブラケット照明やディスプレイ棚の背面照明を組み合わせました。複数の光を重ねることで、時間帯に左右されにくい、穏やかな明るさを感じられる空間としています。
壁面から天井へ連続するアール形状の間接照明は、視線を上方へ導き、天井高による圧迫感を和らげる役割も担っています。トーンの異なる2色のグレージュを使い分けることで、単調にならず、包まれるような奥行きを生み出しました。
受付の曲線が、患者を自然に導く
受付カウンターにもアール形状を取り入れ、空間全体の柔らかさを表現しました。この曲線は意匠としてだけでなく、左側に設けたスロープへ患者を自然に導く役割も持っています。
歯科医院に必要な医療配管のため、診療エリアでは床上げが必要になります。右側からは段差、左側からはスロープでアプローチできる構成とし、空間の形と移動の流れを一体として計画しました。
カウンタートップには、耐久性と意匠性を兼ね備えた人工大理石を採用。待合の椅子は国産家具メーカーの製品から選定し、張り地には汚れの目立ちにくい濃いグレージュを使用しています。患者が直接触れ、長く使用する場所だからこそ、質感と耐久性の両方を重視しました。
スタッフの移動をコンパクトにする、ドーナツ型の動線
面積の広い歯科医院では、スタッフの移動距離が日々の働きやすさに大きく影響します。今回は1階医院の考え方を踏襲し、中央に消毒・技工室をスタッフコアとして配置。その周囲を回遊できる、ドーナツ型の動線計画としました。
受付からカルテ庫、消毒・技工室を経て、診療空間の通路へとつながるため、それぞれの作業を連携させやすい構成です。さらに、消毒室から通路側へ張り出すようにパントリーを設け、診療と消毒作業をつなぐアクセスしやすい中継地点としています。
表層のデザインだけでなく、スタッフがどのように移動し、どこで作業を連携させるかまで考えることで、広い医院内でも動線をできる限りコンパクトにまとめました。診療室は個室とし、診療に必要な物品による視覚的な雑然さが、待合などの共用空間へ伝わりにくい構成としています。
患者が触れる場所へ、効果的に予算を配分
予算はすべての場所へ均等にかけるのではなく、患者が実際に触れる受付カウンターや待合の椅子など、医院の印象と使い心地に直結する部分へ重点的に配分しました。
一方、消毒・技工室では既製品の収納を効果的に組み合わせ、壁面もスタンダードなビニールクロスを基本としています。バックヤードは機能を優先したシンプルな仕様とすることで、必要なところへ予算を集中させながら、医院全体の質を整えました。
完成後には「柔らかい印象のクリニックになり、CGで確認していた空間がそのまま実現した」と評価をいただきました。今後、医院の成長とともに、残された3台分のスペースがどのように活用されていくのかも、この計画の楽しみのひとつです。




